フラストレーション後の行動(前編)
前回、前々回と、「葛藤」についてお話しさせて頂きました。
まだご覧頂いていない方は、下記URLからご覧ください。
9/29付け記事人との葛藤や対立に・・・
9/22付け記事「心の葛藤」に苦しんでいませんか?
さて今回は、更に発展的続編!
自分自身様々な要求の狭間で葛藤したあげく、
もしも、自分が想像していた未来が実現できなかったら・・・?
っというお話をいたします。
人は常に、欲求を満たそうと行動しますが、
様々な要因が重なり、自分自身の欲求が、必ずしも満たされるわけではありません。
その状態を欲求不満(フラストレーション)と言います。
人は、欲求不満や葛藤によって、
心理的な緊張、緊迫に耐えられない可能性(破局)を予感すると、
不安になって、その予感した状況を回避するために、
自分自身を守ろうとする自己防衛反応を現わすことがあります。
その自己防衛反応は無意識的なものなのですが、
その具体的な防衛反応を、
精神分析の創始者ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)が、
明らかにしています。
今日は、その防衛反応をご紹介させて頂きます。
ですが今回、「前編」とさせて頂いたのは、
10個、具体的な防衛反応をご紹介させて頂きたいのですが、
説明等を入れると、記事のボリュームが大きくなりすぎますので、
本日前編では、防衛反応「5つ」をご紹介。
更に、来週「後編」として「5つ」ご紹介させて頂きます。
では、本文に入っていきましょう!
この防衛反応を知ると、
自分自身が、葛藤や欲求不満によって心理的に切迫した時に、
どういう行動をとっているかがわかるかもしれませんね。
具体的な防衛反応
窮地に追い込まれた時、人はどういう行動をとるのでしょうか。
テンパってどうしたらいいの!?となった後・・・のことです。
さて、防衛反応はこんなにあります。
- 逃避
- 抑圧
- 投射(投影)
- 同一視
- 反動形成
- 合理化(理屈づけ)
- 補償
- 昇華
- 置き換え
- 摂取(取り入れ)
例をまじえて、ひとつずつ見て行きましょう。
(今日ご紹介するのは、前半5つです。)
・逃避
逃避とは、
「不安を感じさせる場面から消極的に逃れようとする」防衛機制で、
その中にも、4つあります。
・退避
(自己評価の低下が予測される場面を回避すること)
・現実への逃避
(適応の困難な事態に直面することを避け、
直接的に関係のない別の行動をはじめ、
それに没頭することによって不安を解消すること)
・空想への逃避
(現実の困難な状況から自由な空想世界へ逃げて、
そこで現実に満たされない自己実現を夢見ることで、代償的満足を得ること)
・病気への逃避
(病気を理由に困難な事態から逃れようとするもの。
仮病ではなく、ヒステリー性身体症状が典型的例である。)
たとえば、しんどい時・・・、こんな行動とっちゃいませんか?
- テレビドラマや携帯ゲームに没頭したり・・・(空想への逃避)
- 吐気や下痢、生理不順などの症状が出て来たり(病気への逃避)
- 一つの仕事していて、困った状態になって来たから、
別の仕事をし始めたり(現実への逃避)- 朝礼でのスピーチが嫌で、その日は休んだり(退避)
みなさん、おそらく、日常生活を送っている中で、
それらしい経験したことありますよね。
私はあります。
今でも、テレビドラマ、超がつくほど録画しまくって、ためて見ています!
振り返ると、無意識的に、逃避行動とっているものですね・・・。
だけど、それが良いとか悪いとかではありません。
どんな人でも、無意識的に自己防衛反応を行うものなのです。
抑圧
抑圧とは、
「心理的緊張や緊迫に耐えられない状態を招く恐れのある危険な欲求を
意識にのぼらせないようにする」防衛機制で、
他の防衛機制の基本となっているものです。
現在直面している問題を意識面から排除しようとするだけですので、
完全な緊張解消とはならず、シコリが残ります。
少し難しい説明ですが、簡単に言うと、
自分にとって安心や安定を脅かすような危険なことを、
心の奥(無意識)に押し込めてしまう事。
例えば、
- 親から虐待を受けていたことを、無意識に押さえ込んじゃって、
意識的な記憶から消してしまうとか・・・、- いじめにあっていても、「自分はいじめられていない!」と、
いじめられていることを認めないとか・・・、- 周りの人に嫌われたくないから、本来の欲求や感情を抑えて
聞き分けのいい子を演じたり、どうですか、こんな行動、一度はとったことありますよね?
「抑圧は、他の防衛機制の基本となっている」と先に説明させて頂きましたが、
いい子を演じすぎて、爆発してしまうとか・・・、
親からの虐待の記憶が、自分も親になった時に同じ行動をとってしまったり・・・、
抑圧していた記憶や感情が、次の防衛機制につながることが大いにあります。
投射(投影)
投射(投影)とは、
「自分が持っている社会的に望ましくない感情を、
相手が持っていることにして責任転嫁する」防衛機制です。
被害妄想も、投射の一種になります。
例えば、
- 上司が自分をにらんでいて「私は上司に嫌われている」と思っている人は、
実は、自分自身が上司を嫌っていたり敵意を感じているとか・・・、- 自分がケチだと認めたくない人が、他人に「あの人はケチ!」と非難して、
自分を正当化するとか・・・、- 職場の人がこそこそ話をしているのを、
「自分の悪口を話している」と思い込んだり・・・。
被害妄想を含めて、
自分の中にある否定的な感情や欲求を抑えて、
その抑えた気持ちを「他人の中」にみて、他人を非難するという防御機制です。
確かに、自分自身は無意識的に、投影の防御反応をしているかもしれませんね。
自分自身の否定的な一面を、他人に見たりすることありますよね・・・。
同一視
同一視とは、
「ある対象の考え方や感情、行動を無意識的に取り入れ、
その対象と同じような傾向を示すようになる」防御機制のことです。
これは、
有名人や権威のある人・集団と、自分自身を同一視して自己評価を高めようとする
ものです。
例えば、
- 有名人が着ているお洋服を、自分も好んで着たり、
- 親が低学歴で、自分の子どもを高学歴になることを望んだり、
- つきあっている人のいない人が、友達のデートの準備を、
自分のことのように楽しんだり・・・、- 自分が出た学校を自慢げに言うのも同一視です。
「偉人が出た学校を私も出た!すごいでしょ!」というわけです。
みなさん、理想のなりたい自分像というのがあると思います。
そして、
それに向かって努力している人もたくさんいると思います。
でも、同一視によって、
理想の人やその人になりきって、自分自身の劣等感から自分を守ろうとしてる場合、
実際には、自分自身の劣等感を克服したわけではありません。
でもやっぱり、
好きな人や憧れの人が身につけているものは、
カッコよく見えたり、かわいくみえたりしますよね。
他にも、例えば、
尊敬する人の技術を身につけたい!と思うのも、同じなのではないでしょうか。
反動形成
反動形成とは、
「抑圧が充分でなく、自分の欲求にある程度気づいて、
それが表面化することで自己評価が低下することを恐れて、
そのため、全く正反対の態度や行動をとる」防衛機制です。
例えば、
- 気になっている人のことを「あの人キライ!」と言いふらしたり・・・、
- 男の子が、好きな女の子にいたずらしたり、
- 小心者の人ほど、威張ったり・・・、
- ものすごく嫌いな上司を嫌味でほめてみたり・・・。
いろいろありますねぇ〜。
自分自身の気持ちを抑えて、全く別の態度や行動で、自己評価が下がることを防いでいます。
私は、ほんとに、このタイプです。
自己評価が下がることを防いでいるんですねぇ〜。
唯一無二の存在である私自身を、
認め、自信を持つことから、初めましょうかね。(^^;)
おわりに・・・
今日は、自己防衛反応を5つご紹介させて頂きました。
- 逃避
- 抑圧
- 投射(投影)
- 同一視
- 反動形成
「防衛反応」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ方もおられると思います。
ですが、「どんな防衛反応も、誰もがとっている行動である」
ということを理解すれば、
ネガティブで否定的なイメージが払拭できるでしょう。
自分自身が、どの防衛反応をすることが多いかを客観的に観察し理解すれば、
どれかが一つ飛び抜けることがなくなれば、
周りの人に、
その防衛反応が、自分自身の際立った正確や特徴として
認識されることも少なくなると思います。
意外と、どれか一つが飛び抜けて防衛反応として行動していると、
周りの人に、違和感や不快感を与えたりしてしまう恐れもあります。
防衛反応は無意識的なものですが、実は、行動してから、
「あっ!今、防衛反応した!」と気づくことがあります。
そうして、
行動した後であっても、気づくことが重要です。
自分自身の思うようにならない時、
自分自身が想像する未来が手に入らない時、
そんな時は、しっかり状況を見極めて、行動していきたいものですね。
さて、次回は「フラストレーションの後にする行動(前編)」として、
自己防衛反応の残り5つを、具体的に説明していきたいと思います。
- 合理化(理屈づけ)
- 補償
- 昇華
- 置き換え
- 摂取(取り入れ)
ですが、実は、来週は祝日でお休みですので、
再来週になります。
みなさま、再来週までお待たせいたしますが、次回をご期待ください。
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