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「東京で勝てるブランドのつくりかた」から読み解く、地域のストーリー戦略

2015年09月01日高田
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【こちらの記事は、約4分程でお読みいただけます】

最近、秋雨前線の影響で、生憎の雨が続きますね。
こんな時は読書がオススメです。気分をスッキリさせてくれますしね。

ということで、本日の「教育」ブログは、読書感想文です。

先日京都の新幹線口の書店で、山本 聖さんの「地元で愛され全国区へ 東京で勝てるブランドのつくりかた」という本を見つけました。こちらをピックアップして書いていきたいと思います。

著者紹介

著者の山本 聖(やまもと・さとし)さんは、このような経歴をお持ちの方です。

一般社団法人 地球MD 代表理事
(独)中小機構本部プロジェクトマネージャー(地域資源・農工商・新連携担当)、元(株)小田急百貨店 商品統括部マーチャンダイザー(2010年8月退社)、郊外店舗と都心店舗の衣料品全般(紳士服・婦人服・スポーツファッション・服飾雑貨)の仕入れ担当者として従事。

特に小売業主体のMDによる自主編集・単品売場型の差異化商品開発を中心に担当。国内外問わず、外資大手に負けない専業ブランド開発を産・官・学機関と連携しながら具現化に努める。

特に「がんばれ!日本の製造業、伝えよう!日本の伝統と革新」と題した、メイドイン JAPANのブランディング活動を大手問屋連携(チームJAPAN)と推進。2008年より(独)中小機構本部プロジェクトマネージャーとして、半官半民の見地で全国の中小企業の支援活動を推進中。

Webサイト:http://earth-md.jp/

現在の肩書きは「プロジェクトマネージャー」をされているということですが、いわゆる私達、Web業界のいうPMとは少し内容が違います。

私達は、Webという業界のなかで特定のサイトやアプリという成果物を作るうえでのプロジェクト進捗管理を行います。一方で山本さんのご活動は「中小企業のブランディング」を拡げる一連のプロジェクトを指すので、おおきくいえばプロデューサー的な役割も兼任されているのですね。

本書でも、「ブランドは土地に宿る」というコンセプトをもとに、地域プロデューサーになるべきだと、読書をつかむたくさんのエピソードが公開されています。

いくつか、印象に残ったものを書き出していきます。

2章:出口戦略から考える市場化

通常商品開発されたものが、どのような行程を経て、市場に流通していくのか、その仕組みを学べる章です。
出口から考えて、ものづくりに活かせ、とはよくいいますが難しいものですよね。

モノが売れない三大要因

1:市場への伝達ができていない
2:市場のニーズやルールに合致していない
3:市場と乖離した商品を販売している

どれも、自社内だけでの「ものづくり」意識では気づけ無いことばかりです。
外からアドアイスを受けながら、マーケティングに予算をとることも大切。

3章:売れる地域ブランドをつくるためのポイント

売れる商品の共通点として、「裏付け」「独自性」「作り手の思い」を市場が求めていることを知ること。
ターゲットを決めるために「どこで」「だれが」「だれに」「なにを」「どうする」まで考えようというフェーズです。
私もペルソナモデルを作るうえで、5W2Hを実践しようと伝えていますが、その簡易版で汲み取りやすく図解されています。

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さらにここからが面白く、そのターゲットとなるお客様のライフスタイルを考え、その方にあうギフトを届けよう、という発想をされています。
なるほど、確かに「◯◯さん、買ってね」というよりも、「◯◯さん、ご友人にいつもありがとう、と贈り物をしましょう」とするほうが、スマートでかつ良品を欲しがろうと思えますよね。

そして、その商品を開発する想いを自社、しいては自身のブランド化に繋げることで、地域代表の愛され役になる。筋が一貫して通っているブランディング作りが伺えます。

著者の山本さんが活用されている「ブランディング整理シート」を多用に確認しながら、地域に根付いたストーリーを組み立てる戦略立案フェーズとして、読み応えあります。

4章:地域ブランドのチームづくり

プロジェクトリーダーを中心に、どう組織を組み立てていくか、「チーム」形成に関する手法も学べます。

5章:国の支援スキームに関する具体例

4章に続き、作ったチームを導入⇒成長に至るまで、必要なのは「人とのご縁」だといいます。
「販路の開拓」も、人の繋がり有りきです。
地域で成功するための、大事な要素を、著者が関わるプロジェクトの具体例とともに確認できます。

6章:ストーリーの重要性

地域のアカの他人同士が、一致団結してプロジェクトをすすめるには、国の支援だけでなく、本人たちの意志を繋ぎ、繁栄させることが必要です。
事業として歩みを持たれている著者のリアルな具体事例にあわせて、「ストーリー」をいかに回し、「お金」を作っていったか、各企業のヒントにもなる行動がたくさん書かれています。

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読後に

こうして、各章ごとにスムーズに読み進められるボリュームですので、
すんなりはっきり入ってくるものがありました。

本書を通して、ブランディングを勉強したことのある人なら、既知要素も、当然含まれています。
だからこそ、正統派のブランドを用意できる「裏切らない商品」が発信できるのですね。

地域では東京にない、風土の魅力があります。
人の奥底で誰もが持っているその風土を、商品に活かせるよう、ストーリーを考え、ブランディングする。
そうまとめられる一冊です。

教育とは、「教えて育む」と書きますが、
読書はたくさんの書き手から諭される良い機会であることに間違いありません。

今後もこうしたブックレビューを行っていきたいと思います。

 

今回紹介した書籍:「東京で勝てるブランドのつくりかた」【amazon】http://www.amazon.co.jp/dp/4844374176
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