IDEO社による、ペルーにイノベーションを与えた学校&教育システム設計
【こちらの記事は、約5分程でお読みいただけます】
本日は、海外でイノベーションを与えるほどの学校&教育システムを設計した企業を特集します。
その名も、シリコンバレーにあるデザインコンサルタント会社 IDEO(アイディオ)という企業です。
英文の本記事はこちらから確認ができます。
『Designing a School System From the Ground Up』
http://www.ideo.com/work/designing-a-school-system
日本語で取り上げている記事はないのか探しましたが、2015年8月現在、まだ1件もありませんでした。
今回は、英文記事よりいくつか気になる箇所を抜粋し、より理解しやすいよう、多少の意訳を加えさせていただきながら解説していきます。
IDEOとは? – 世界の革新を設計するデザイン企業
そもそもこの企業は、Apple社の「マッキントッシュ」に付属する初代のマウスや、楽天が買収したカナダのKoboが開発する「Kobo Touch」の筐体デザインなどを手がけた、ハード系のデザインを扱っていた企業でした。日本でもオフィスを構え、「無印良品」を手掛けたデザイナーの深澤直人氏が代表を務めていたこともあり、デザイン業界では比較的名の知られた外資系デザイン会社です。
そこから「デザイン・シンキング」という発想を取り入れ、ハードからソフトへ、デザインの領域を広げていったことで、様々な取り組みをすることになったそうです。
結局、デザイン・シンキングとは何なのか 〜 IDEOがビジネスにデザインを持ち込んだ理由
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131113/255830/?rt=nocnt
最近では、「人間中心設計へのフィールドガイド」という記事にて、IDEO.orgという非営利団体として、貧しく脆弱なコミュニティの生活を向上させることをミッションに、課題解決を図るためのツールキットを制作されています。
キット自体ではありませんが、この説明資料に関しては、無償でPDFにてダウンロードできますので、ぜひ皆さんも手にとってみてください。
http://www.designkit.org/resources/1
「Innova(イノーバ)」プロジェクトのご紹介
さて、本題です。このIDEOが2012年に手がけたプロジェクトで、
ペルーの学校教育システムをゼロから構築した話をします。
もともと、ペルーは新興中産階級として急成長をとげながらも、新興国のなかで学校にて教える教育水準は、65カ国中65番目という最低ランクでした。
世界クラスの教育をお手頃な価格で提供できるのに、その土台となるシステム基盤が構築されていなかったそうです。
そこで、IDEOは、このペルーならではの「価格」「拡張性」「卓越性」といった強みとなる分野に目をつけて、カリキュラムだけでなく、教育戦略、実際の建物、そして財務運用計画まで、各種設計を行い、ペルーという国自体の教育ネットワークを手がけたのです。
こうして出来上がった学校が「Innova(イノーバ)」です。
イノーバを国際基準の学校へと変えた「教育システム」
2015年2月には、イノーバは29校、ほぼ20,000人の学生と1200人の教師が所属する最大級のネットワークとなりました。約130ドル/月で質の高い教育を提供できるこの学校に現在も応募は集まっているようです。
イノーバの特徴として、
自身でデジタルベースに学ぶことができる「ソロ学習」と、小グループでの教師主導、プロジェクトベースの学習体験を組み合わせた「グループ学習」をブレンドした授業展開を行っていることが挙げられます。
いつでも親は、オンラインで子供の学習進行状況を見られるということですので、驚きです。
それだけでなく、ペルー国内自体で集められない講師はオンラインで契約を結び、たくさんのカスタムレッスンを提示できることが可能です。ネットワークを駆使した学びならではの授業提供の仕方ですね。
こうしたなかで、イノーバはペルーに国際的かつ高品質基準を満たす教育を実施できるようになったのです。
実記事の本文中にもありますが、
「Schools require constant innovation and design. IDEO’s work set us up for years ahead.」
学校は一定の技術革新とデザインを必要とします。IDEOの仕事は、今後の私たちの進む先(のビジョン)までも設計しています。
と、イノーバの最高経営責任者(CEO):ホルヘ・チェスマン氏も言っています。
本文ではこうして、締めくくられます。
人間中心設計を取り入れた新システムを取り入れたことで、イノーバははるかに軽快かつ創造的組織を構築できた、と。
小さなインプットから、大きな仕事は生まれる
IDEOは、デザインで世界を変えてきた企業です。こうした企業が取り組む課題解決策や、提示される方向性を調べるだけで、
自らが考えもしなかったアイデアをたくさん吸収することができます。
ネットでも、本でもどのような情報の取得方法であっても、インプットの「質」はとても大事です。
今、企業の優れた成功事例、もちろん失敗から得た学びなども、たくさんの情報から得ることができます。
私達デザインに携わる人間は、興味のあるものからで良いのでストックをする癖をつけていき、
しいては、デザインで小さな世界から変えていく、身の回りを幸せにする設計を考えると、どんどん仕事が楽しくなるはずです。
IDEOのデザイン・シンキング。ぜひ、興味を持たれた方は、確認してみてくださいね。
IDEO社のFacebookページはこちら。笑顔の社員がカバービジュアルを彩っているのも、良いですね^^ ⇒
https://www.facebook.com/IDEOprofile